
過去におしゃれで入れたタトゥーを「だんだんと後悔するようになってきた」という方が増えています。日本では、まだタトゥーに対する社会的なイメージが厳しく、タトゥーをしているだけでも「怖い」「不快」といった印象が根強いものです。そのため、就職や結婚などのライフステージの変化をきっかけに、これからの人間関係を考えてタトゥーを消したいと考える方も少なくありません。しかし、一度入れたタトゥーを完全に消すのは難しいとされています。
本記事では、身体に入れたタトゥーを消したい方のために、美容医療で行っているタトゥー除去施術について詳しく解説します。
目次
タトゥー・刺青・アートメイクの違いは?
身体にデザインした絵柄や文字を入れる方法は、タトゥーのほかにも刺青(いれずみ)やアートメイクがありますが、いずれも皮膚に針を使って色素を入れていくものです。
アートメイクはタトゥーや刺青とは目的が少し異なり、基本的には眉や唇などに色素を入れてメイクアップのひとつとしておこないます。また、一番大きな違いは色素を入れる深さです。アートメイクの場合は浅い皮膚層の表皮までしか針を刺しませんが、タトゥーや刺青はさらに深い皮膚層の真皮まで針を刺します。タトゥーや刺青のように針を刺す位置が深い施術は、痛みが強くリスクも大きいです。
タトゥーが消えない理由
一度入れると消せないのが、タトゥーを入れる最大のデメリットです。アートメイクは日が経つにつれて徐々に薄くなっていきますが、タトゥーの場合はほぼ永久に残ります。なぜなら、タトゥーの色素が入る真皮ではターンオーバーが起こらないからです。
入れた当時はずっと残しておきたいと思って入れたはずの文字やお気に入りの絵柄も、年数が経つにつれて考え方や生活が変わって「デザインを変えたい」「タトゥーそのものを消したい」と思うのは自然な成りゆきでしょう。しかし、真皮に入れた色素は自然に消えることはなく、自分で消すこともできません。
自力で消すのは危険!

身体からタトゥーを消すには、真皮に入れた色素を除去する必要がありますが、自力では不可能です。タトゥーの消し方をインターネットで検索すると、シールやスプレーなどで一時的に隠す商品は見つかりますが、タトゥーの色素を消すことはできません。
タトゥーを薄くすると謳っている海外製のクリームも見かけますが、市販の製品は真皮に働きかけることができないため当然ながら効果はないでしょう。
タトゥーを皮膚ごと削り取るという過激なやり方をする方もいますが、傷跡が残るため身体にも大きな負担がかかります。タトゥーを自力で消すのはとても危険なので絶対にやめましょう。
タトゥーは皮膚科で消える?
皮膚科や美容皮膚科では、タトゥー除去ができます。皮膚から完全に色素をなくすには、タトゥーの入った部分を切除する「切除術」や、切除したあとにほかの部位の皮膚を移植する「皮膚移植術」、色素のある皮膚を削り取る「剥削法(はくさくほう)」などの手術が必要です。しかし、手術は傷跡が残るリスクがあり、ダウンタイムなど身体への負担も大きく、さまざまなデメリットが生じます。
近年ではレーザーの性能が向上し、肌へのダメージを抑えながら特定の色素だけに作用して破壊できるようになりました。広範囲のタトゥーも比較的少ない回数で効率的に色素を除去することが可能です。また、皮膚の伸びが少ない部位や太い血管が近くにある部位など、手術には不向きな所に入れているタトゥーでもレーザーなら対応できるでしょう。
レーザーによるタトゥー・刺青除去施術
ピコ秒レーザー
ピコ秒レーザーは1兆分の1秒という、極端に短い時間でレーザーを照射し、狙った色素を音響衝撃波で細かく破壊して体外に排出する美容医療施術です。ピコ秒レーザーが起こす音響衝撃波は非常に強力ですが、狙った範囲以外にはほとんど影響を与えないのが特徴です。
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レーザーがインクに反応
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衝撃波で色素を細かく粉砕
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粉砕した色素を老廃物として体外に排出
通常、しみやあざの治療に用いられますが、タトゥー除去に効果が期待できます。ただし、レーザーが持つ波長の種類によって、除去できる色が異なります。目で見えないほど薄くするためには、定期的に数回の照射が必要なうえ、痛みをともないますが現時点ではほかのレーザーと比べても効率のよい治療が可能です。
ピコ秒レーザーは照射時間が短いので、痛みや炎症が生じにくいとされています。ただし、施術後の肌はダメージを受けやすくなっているので、ていねいな保湿と紫外線対策を心がけ、患部をこすったり刺激を与えたりすることは避けて過ごしましょう。
Qスイッチレーザー
Qスイッチレーザーは、10億分の1秒という非常に短い時間でレーザーを照射し、メラニンを破壊する美容医療の施術です。
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レーザーがインクに反応
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光破壊作用により、色素を破壊
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破壊した色素を老廃物として体外に排出
レーザーが持つ波長の種類によって、除去できる色が異なります。
Qスイッチレーザーを照射する際、待ち針で軽く突つくような痛みが生じますが、痛みや赤みは数日で軽減します。照射後はかさぶたができますが、自然に剥がれ落ちるまでの10日~2週間程度はテープで保護することが多いです。レーザーを照射した後の肌はとてもデリケートなため、乾燥や紫外線から守るスキンケアが非常に重要です。
まとめ

今まで、タトゥーを完全に除去するには手術が唯一の選択肢とされていました。しかし、近年のレーザー技術の向上により、その選択肢は大きく広がっています。従来のレーザーでは消しきれなかったカラータトゥーの除去も可能になり、より多くの方のお悩みに対応できるようになりました。