
リジュビネーションという言葉をあまり聞き慣れない方もいるかもしれません。
「Rejuvenation(リジュビネーション)」とは「若返り」という意味で、美容医療の分野では加齢によって起こる肌質の劣化を食い止める技術や施術のことを指します。
この記事では、リジュビネーションの仕組みや加齢による肌の変化について詳しく解説します。さらに、肌の若々しさを取り戻したいときにおすすめの美容医療施術も紹介します。
年齢を重ねて肌の衰えが気になり始めた方、ハリ・ツヤのある健康的な肌質をめざしている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
若々しい肌はどうなっている?
若々しい肌とは、うるおい・ハリ・なめらかさがあり健康的に整っている状態のことです。肌は大きく表皮(浅い層)と真皮(深い層)に分かれていますが、それぞれが具体的にどういう状態だと「整っている」と言えるのか見ていきましょう。
表皮の状態
表皮は、肌の浅い層で目に見える部分です。この表皮の水分と油分がバランスよく整っていると、みずみずしく透明感のある肌になります。そのためには、紫外線や外的刺激から肌を守り、水分が出ていくのを防ぐ「バリア機能」が正常に働いていることが欠かせません。また、メラニンなどの不要な物質が自然と排出され肌の細胞が生まれ変わる「ターンオーバー」が正しい周期で行われることも大切な要素です。
真皮の状態
真皮は、コラーゲンなどの繊維状のタンパク質で構成され、その隙間にヒアルロン酸が水分を抱え込んでいます。真皮が良好な状態だとハリがありなめらかな、若々しい肌になります。この状態には、コラーゲンの生成を担う線維芽細胞の働きが欠かせません。線維芽細胞が刺激を受けコラーゲンの生成が促進されると真皮のボリュームが向上するだけでなく、表皮の細胞分裂や新陳代謝も活発化します。
加齢によって肌はどう変化するのか

年を取れば誰しも肌に様々な変化が現れます。その要因は単に加齢だけなく長年にわたり浴び続けた紫外線ダメージの影響、つまり光老化などの環境的要因も考えられます。
以下では、年齢とともに起こる主な肌の変化と、そのメカニズムを解説します。
しみ
しみは、メラノサイトがメラニン色素を生成し、それが肌に沈着することで起こります。主に紫外線や加齢、ホルモンバランスの変化が原因でメラノサイトが活性化されるとメラニンが過剰につくられます。本来、ターンオーバーでこのメラニンは自然に排出されますが、ターンオーバーが乱れると排出が不十分になり、溜まったメラニンがしみとなって定着します。
しわ
しわは、真皮(肌の深い層)のコラーゲンやエラスチンといった弾力のもととなる成分が減少し、皮膚の支えが弱くなることで起こります。さらに、表情筋の動きで皮膚が繰り返し伸縮することで、徐々に溝が深まります。加齢や外的要因で皮膚の新陳代謝が遅れると、肌が柔軟性を失い、しわが固定化されてしまいます。
たるみ
たるみは、真皮(肌の深い層)のコラーゲンやエラスチンが減少し、弾力とハリが失われることで起こります。また、皮下脂肪が重力に引っ張られ、支えきれなくなった皮膚が下垂します。さらに、加齢によって筋力が低下し、顔の土台である表情筋が弱まることで、肌が支えを失いたるみが進行します。ターンオーバーの遅れも影響し、肌が引き締まりにくくなり、たるみが定着する原因となります。
リジュビネーションができる施術
リジュビネーションができる施術は、年齢を重ねた方だけでなく、美肌を目的とした美容医療を試してみたい方や肌質の改善を求める方にもおすすめです。
フラクショナルCO₂レーザー
フラクショナルCO₂レーザーとは、レーザーを細かく分割してまばらに照射する方法です。まばらに照射することで周辺組織への熱影響を抑えられるので、痛みの少ない施術が可能となります。
レーザーの熱影響により一時的に組織が損傷をうけますがそれを修復しようとする力が肌の再生を促します。この創傷治癒反応(傷を治そうとする反応)を利用し、コラーゲン産生を活性化してさまざまな肌悩みの改善を図ります。
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レーザーを細かく分割して照射
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一時的に組織が破壊され肌再生を促進
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数日かけてかさぶたがはがれ健康的な肌へ
創傷治癒反応により、真皮(肌の深い層)を構成するコラーゲンやエラスチンが増生すると肌の弾力が増し、肌のキメが整い、小じわもふっくらと、目立ちにくくなる効果が期待できます。また施術の回数を重ねることで毛穴の開きやニキビ痕なども徐々になめらかに整っていくでしょう。
フラクショナルCO₂レーザーをまだら、または格子状に照射することで熱による肌への負担を抑え、比較的痛みの少ない施術が可能です。照射後の赤みは2~3日でひくことがほとんどですが、レーザーの出力が高いと赤みが続きやすいでしょう。照射後の肌は乾燥しやすく、紫外線の影響を受けやすくなっています。治療後はていねいに保湿ケアや紫外線対策を行いましょう。
Qスイッチレーザー
Qスイッチレーザーは、10億分の1秒という非常に短い時間でレーザーを照射し、メラニンを破壊する美容医療の施術です。レーザーは対象の色素に吸収されると、メラニン組織を破壊します。破壊されたメラニン色素は数日かけて老廃物として代謝され、体外に排出されます。
到達深度の異なるさまざまな波長があり、表皮(肌の浅い層)から真皮(肌の深い層)まで各層に届きます。
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レーザーがメラニン色素に反応
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熱エネルギーがメラニン色素を破壊
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破壊したメラニン色素を老廃物として体外に排出
さらに、リジュビネーションを目的とした照射方法を搭載する機器もあり、真皮(皮膚の深い層)の熱影響による美肌効果も期待できます。熱でコラーゲンが刺激され、コラーゲンの増生がおこります。その結果、肌の弾力が増し、キメが整い、小じわの改善など年齢肌の悩みに効果が期待できます。
Qスイッチレーザーは照射時間が一瞬なので周囲組織への熱影響を抑え、肌への負担が少ないことも特徴です。照射する際、ゴムではじかれるような痛みが生じますが、痛みや赤みは数日で軽減します。
照射後はかさぶたができることがありますが、自然に剥がれ落ちるまではテープで保護することが一般的です。レーザーを照射した後の肌はとてもデリケートなため、乾燥や紫外線から守るスキンケアが非常に重要です。
ピコ秒レーザー
ピコ秒レーザーは1兆分の1秒という、極端に短い時間でレーザーを照射し、しみの濃淡に関わらず狙ったメラニン色素を音響衝撃波で細かく破壊して体外に排出することで、色素沈着の改善を図る美容医療施術です。衝撃波は強力ですがピンポイントに照射できるので、肌への負担が少ないのが特徴です。
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レーザーがメラニン色素に反応
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衝撃波でメラニン色素を細かく粉砕
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粉砕したメラニン色素を老廃物として体外に排出
さらに、真皮(皮膚の深い層)にレーザーが届くと、音響衝撃波の影響でコラーゲン産生が促進されるので、皮膚の弾力向上や肌質の改善が期待できるでしょう。
ピコ秒レーザーは照射時間が短いので、痛みや炎症が生じにくいとされています。
ただし、施術後の肌はダメージを受けやすくなっているので、ていねいな保湿と紫外線対策を心がけ、患部をこすったり刺激を与えたりすることは避けて過ごしましょう。
IPL
IPL(Intense Pulsed Light)は、特殊な光を照射することで、さまざまなお肌のトラブルの改善を期待できる美容医療の施術です。肌の色ムラの原因となるメラニン色素やヘモグロビン色素をIPLの熱で刺激することで、肌のトーンを均一にする効果が見込めます。照射を繰り返すことでくすんだ肌も徐々に明るくなっていくでしょう。
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IPLの光がメラニン色素を熱で分解
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メラニン色素はかさぶたのように浮上
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メラニン色素を老廃物として体外に排出
また、熱エネルギーが線維芽細胞を刺激し、真皮を構成しているコラーゲンやエラスチンの生成を促進して肌のハリや弾力を向上させる効果も期待できます。その結果、キメの乱れや小じわがなど、加齢による肌の変化にも改善をもたらすことができるでしょう。
照射時の痛みには個人差がありますが、輪ゴムで軽く弾かれた程度の痛みで、我慢できないほどの痛みをともなうことは少ないです。施術後には赤みやほてり、ヒリヒリ感などが生じることがありますが、翌日には緩和する傾向にあります。ただし、IPLを照射した後の肌は乾燥しやすく、紫外線の影響を受けやすくなっています。保湿ケアを徹底し、日焼け止めや日傘、帽子などで念入りに紫外線ケアを行いましょう。
ニードルRF
ニードルRFは、マイクロニードル(極細の針)で皮膚に穴を開け、ニードルの先端からRF(高周波)を流し、肌内部に強力な熱エネルギーを伝える美容医療施術です。
皮膚が傷つけられると、傷を治そうとする力が働きます。これを「創傷治癒反応」と言いますが、回復の過程でコラーゲンやエラスチンといった皮膚の弾力を保つタンパク質が産生されます。ニードルRFは、この性質を利用し、穿孔と熱エネルギーで真皮内に刺激を与え、創傷治癒反応を促進させます。これにより、皮膚の弾力が向上し、健康な肌へと導きます。また、熱エネルギーで皮膚内のタンパク質を凝固させるため、肌の引き締めやリフトアップ効果も期待できます。
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マイクロニードルで微細な穴を開ける
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真皮にダイレクトにRF(高周波)を照射
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コラーゲン産生の活性化で健康的な肌へ
ニードルRFは針を刺すため多少の痛みをともないますが、RF(高周波)の止血効果により出血は最小限に抑えられます。痛みに弱い方は麻酔を使って痛みを抑えることもできますので、医師に相談してみてください。施術後の赤みが残る場合も、たいてい1~2日で軽減するでしょう。
HIFU(ハイフ)
HIFU(ハイフ)は、「High Intensity Focused Ultrasound(高密度焦点式超音波)」の略で、高密度の超音波によって真皮、皮下脂肪、SMAS筋膜などあらゆる皮膚層の狙った部分に熱エネルギーを届けて、たるみの引き締めや脂肪の溶解を図る美容施術です。
「高密度焦点式超音波」という名前の通り、熱を届けたい層に焦点をあてて照射することができるのが特徴です。
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皮膚のさまざまな層に超音波をピンポイントに照射
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焦点を当てた層に熱エネルギーを生じさせる
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照射した層により、コラーゲンやエラスチンの生成、脂肪溶解、筋膜の収縮を引き起こす
HIFU(ハイフ)の熱で変性した部分を修復するために皮膚の創傷治癒反応が働き、真皮層のコラーゲンやエラスチンの生成を促すため肌の弾力やしわ改善などが見込めます。また、照射を繰り返していくと徐々に真皮の密度が高まり、肌のリフトアップやタイトニングにも効果が期待できます。さらに、肌深部の血流が改善することで肌のトーンアップも感じられるでしょう。
皮下脂肪に照射することで、脂肪細胞を溶解します。溶解された脂肪細胞は、血管やリンパ腺を通じて排出され、ボリュームダウンが期待できます。二重あごの改善や、二の腕のタイトニングが可能です。
HIFU(ハイフ)施術は医療行為となっており、クリニックでのみ施術を受けることができます。
HIFU(ハイフ)は正しく照射すれば表皮にダメージを与えることはありませんが、皮膚の内部は高温となるため、痛みを感じる場合があります。感じ方には個人差があり、ピリピリした違和感から神経痛や筋肉痛のような痛みまでさまざまです。
施術後は、熱による影響で軽い赤みや腫れが出ることがまれにあります。ほとんどの場合は数日から数週間で引いていくでしょう。しばらくは肌が乾燥しやすく刺激に敏感なため、保湿ケアはいつもより念入りにして、紫外線対策もしっかりと行ないましょう。
まとめ
